Scene.18 どかどかうるさいロックンロール本屋!
高円寺文庫センター物語⑱
「イベント路線は、ようやく中島らもさんのサイン会も成功させて軌道に乗せたので中心基軸にしていきますよ。
高円寺向きな新刊が出るかどうかで、一朝一夕には行かないけど・・・・参加されたお客さんには、文庫センターの中毒リピーター化を狙っていますからね。
イベントにグッズが絡めば、客単価は1500円代! おいしいんだけど、個性的過ぎるから相応しい新刊サイン会の話がなかなかないのが悩みなのよ。
マスコミ露出は、先月発売になった『散歩の達人 高円寺・中野特集』に紹介されて400冊目の注文をしたところです! このお蔭で、電話での問い合わせや『散達』を持ったお客さんのご来店が増えていますからね。
今週は『Tokyo Walker』。来週は『TOKYO1週間』。さらにテレビ埼玉と、業界紙の『新文化』に、御社の経営相談室からも取材依頼の予定もあるんですよ。
ほかに、いいアイデアがあったらアドバイスを下さいよね」
「店長、謙虚すぎ! サブカルとか理解しがたいので、いま流行りのカリスマ店長として頑張って下さいよ。
うちにも商品開発に玩具がありますけど、文庫センターさん向きじゃないですよね」
「ちゃんとチェックしています。だから、有明の東京ビッグサイトで開かれるブックフェアには行ってもいるけど、グッズのギフトショーには2班編成で行くようにしてますからね。
最近は蔵前や日暮里の玩具問屋街にまで、足を延ばしていますよ」
日販さんという問屋、取次店は商品流通と金融面でお世話になっている会社。このように、しっかり毎月「監視」されていた。
「内山くん、今日のサイン会で今年やっと6本目だよ。
店の売り上げ低下をさ、イベント路線でカバーって思っても難しいな」
「月一は入れたいけんが、店のサブカル・テイストに相応しい新刊はなかなかなかねぇ。
世間的インパクトのあるビッグなキャラを、来年はやらにゃあかんばい」
「だよな・・・・内山くんのジャンル、ミュージシャン系を網はって頼むよ!」
「あれ、店長! 外を見んと!」
1999年、最後のサイン会&トークショーは杉作J太郎さん。上梓されてから半年近く経ってしまったが、メディアワークス刊『ヤボテンとマシュマロ』でイベントをしていただけることになった。
杉作J太郎さんは、漫画家・タレント・俳優としてサブカルチャーシーンを中心に活躍されているので文庫センターのイベントにはピッタリ!
テレビ番組の『タモリ倶楽部』には出ているし、なんと言っても映画。つげ義春さん原作関連の『ゲンセンカン主人』『無頼平野』『ねじ式』だよ。「がんばれ、チヨジ!」って、チヨジの乳揉んでいたもんなぁ・・・・Jさんの円満としか、言いようのない屈託のない笑顔と、野太い声の存在感には魅せられていた。
そんなJさんが、横歩きのインベーダーゲーム(または異星人)のように出現した!
待ち合わせの高円寺南口駅前の洋菓子店『トリアノン』、大きな窓ガラスの向こう側に満面の笑顔でガーって感じ。ビックリした!
飾り気がないどころか、存在そのものが感激の個性。実は「魚民」での打ち上げが、ボクらみんな座布団から転げ落ちて酸素! 酸素! を連呼するしかない、抱腹絶倒。
お話の最後に必ず「恐ろしい話です」と締めるのが、みんなのツボにハマってしまいトークショーよりも愉快痛快。これじゃ、トークショーに来てくれたお客さん達に申し訳ないと思うほどだった。
はい、下ネタのてんこ盛りです・・・・。